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ある男の後半生(こう反省)

レビュー

ジェームスディーンの3作品について

投稿日:2017年5月1日 更新日:

「エデンの東」、「理由なき反抗」、「ジャイアンツ」。 ジェームスディーンと言えばこの3作品です。

無名時代も含めれば出演作はもう少しありますが、名前がクレジットされるようになってからの作品はこの3作品のみです。

作品数が非常に少ないのは、彼はわずか24歳で世を去ったからです。 にもかかわらず、彼はハリウッド映画史上に名を残しています。

ジェームスディーンという名前で連想するもの、ジーンズ、スポーツカー、反抗的な若者、といったところでしょうか。

これらはやはり、映画からのイメージによるものが大です。 ですがこれら3作品はいずれも派手なアクションでもなければ、血しぶきが飛び散るスプラッターでもありません。

人間の心の機微、つまり親子愛だとか世代間の葛藤、若者特有の心の渇きなんかを数時間かけて観客に気づかせてくれる珠玉の作品群です。

ただこういう名作を鑑賞する時に陥ってしまいがちなことなんですが、「構えてしまって作品が楽しめない。」ということが起こりがちです。

僕も一度20代の頃にこの罠?にハマってしまい、内容が思うように頭に入らず、レンタル代を損したという過去があります。(笑)

なのであまり名作、名作と意識せずに流す感じで鑑賞するくらいがちょうどいいと思います。

それではこれら3作品はどのような映画なのでしょうか?

エデンの東

ジェームスディーンといえばこれ、というくらい有名なこの作品。 テーマ音楽も有名で僕は長い間、この曲だけを知っていて美しいこのメロディーに耳を傾けながら、この映画はどんな内容なんだろうと色々想像したものです。

この映画が扱っているテーマは「親子の愛情のすれ違いがもたらす悲劇」というのでしょうか。 主人公は父親と兄と3人で暮らしていますが、父親は一応世間的にも一定の成功を収めた人で、兄も立派な婚約者のいるぱっと見には申し分のない人間。

一方主人公は酒場に入り浸り、朝帰りなんかして一見フラフラした若者に見えます。 そのため父親は兄を溺愛し、主人公をなんとかしなければと日々考えています。

ところが一見理想的に見える父親と兄は主人公の目には世間体というものを気にして、教科書的に生きているようにしか見えません。

ある日決定的な出来事が起こります。 父親の誕生日プレゼントとして2人がそれぞれ贈り物を用意しますが、兄は婚約者との結婚といういかにもなものでした。

当然、父親は「これ以上ない贈り物だ。」と言って祝福します。 一方主人公は、事業で失敗した父親の損失を埋めてやろうと穀物の相場で儲けた現金を贈りますが、これが父親を怒らせて「お前も兄貴のような贈り物をくれたら。」と言わせてしまいます。

主人公はこの言葉にショックを受け、兄に父親の秘密をばらしてしまいます。 それは彼ら兄弟は、身持ちの良くない酒場の女の子供なんだというものでした。

初めてこのこと知った優等生の兄はショックのあまり酒を飲み、家を飛び出してしまいます。 一方父親も主人公がなぜかこのことを知っていて、兄にもばらされてしまったショックで脳出血を起こし、倒れてしまいます。

しかし、最後の最後で主人公は父親に詫び、父親も主人公に「お前が私の看病をしてくれないか。」と言うことで初めてすれ違っていた親子の愛情が通じて、この映画はエンディングを迎えます。

理由なき反抗

この作品を一言で説明することは困難です。 あえて言うなら、親が我が子に求めるものと、子が自分の親に求めるもののギャップが生み出す歪みが不幸の連鎖を作り出していく、とでもいえばいいのでしょうか。 これでも分かりづらいですね。(笑)

この映画には主人公、ヒロイン、そして主人公の友達という三本柱が登場しますが、それぞれ家庭的に問題を抱えています。

というよりは、それは単に彼らの主観の問題であって、もしかしたら平凡な家庭環境に彼らが過剰反応しているだけかもしれませんが。

とにかく映画は舞台となる街に高校生の主人公が引っ越してきた、というところから始まります。

主人公は引っ越してきたばかりなのでまだ友人がいません。 ヒロインは父親に愛されていないと思い込んでおり、それが原因で不良グループと夜な夜な遊びまわるような生活を送っています。

ある日主人公はひょんなことからヒロインが属する不良グループに目を付けられてしまい、リーダー格の男と決闘をすることになりました。

主人公は決闘には勝ちますが、相手は死んでしまいます。 別に殺したわけではなく、自動車レースでの事故死です。

不幸な事故があったものの、主人公の中に男気を感じた前述の友達が近づきになり、ここでこの映画の三本柱が揃います。

急速に親密さを増していく主人公とヒロイン、そして主人公に対するあこがれを強くする友達、一方で主人公は不良グループの取り巻き連中から狙われ始めます。

直接殺したわけではないにしろ、リーダーが死んだのは主人公のせいだと思われているからです。

ある日不良グループのメンバーは主人公の友達から二人の居場所が書かれた手帳を奪い、二人がある空き家で会っていることを知ります。

リーダーの復讐に燃えているグループのメンバーは二人のいる空き家へ向かいます。 一方二人の居場所を知られてしまった友達も自宅から銃を持ち出し、二人の元へ・・・。

元々は誤解から生じたトラブルですが、主人公の友達は不良グループの一人を撃って負傷させてしまいます。 当然、地元では警察沙汰となる大騒ぎです。

主人公は友達を説得し、自首、投降させようとします。 友達も最初は素直に聞き入れましたが、警察側の誤射により命を落としてしまいます。

友人の死を前にして泣き叫ぶ主人公。 その主人公を前に自分たち親も変わることを我が子に誓いつつも今はとにかく帰ろうと促す父親。

結局この作品は、いつまでも埋まらない親子の間の感情の溝を表現したかったのかもしれません。

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