シャーロックホームズ、ビートルズ、007・・・。 イギリスといって思い浮かぶものはいろいろありますが、その中の一つにシェイクスピアの数々の有名な劇作品があります。
シェイクスピアといってすぐに頭に浮かぶタイトルと言えばやはり「ロミオとジュリエット」ではないかと思います。 敵対する集団に属するある一組の男女がお互いに惹かれあってしまうというシチュエーションがもう、その恋の成就に幾重もの乗り越えるべき壁の存在と、たとえ「恋」自体が乗り越えたとしても、残されたものが引き起こす悲劇を連想させてしまう。
もう若い人ならいやがうえにも血がたぎってしまうシチュエーションですよね。(笑) 話は面白そうだけど、本はなんか面倒臭くて読む気がしないという人は「ウエストサイド物語」というアメリカ映画がまんまロミジュリのストーリーなので、観ると一発で内容を理解できます。
彼の傑作はよく「四大悲劇」と呼ばれます。 「ハムレット」、「オセロ」、「リア王」、「マクベス」。 そのすべてが、国も時代も関係なく何百年も同じように繰り返される人間のどす黒い本性を晒しだしています。 だからこそ地球上どこでも彼の名は知られているし、現在でも上演され続け、映画の骨組みとしてパクられ続けているのでしょう。
父である国王を叔父に殺され母を寝取られたハムレット、(要は兄を殺してその嫁を妃にした弟)にっくき叔父を成敗するために、彼の恋人やその兄、自分の母親までもがドンドン巻き込まれて犠牲になっていく。 最終的に仇はとるものの、自身も受けた刀傷がもとで死んでしまう。 これがハムレット。
人格立派な黒人の軍人オセロと貞淑な白人の妻デズデモーナ、(黒人と白人、オセロゲームの語源)二人は仲睦まじい夫婦だったが、妻に横恋慕する配下の人間に、「あなたの奥様は浮気をしている」と吹き込まれる。 最初は妻を信じていたオセロだったが、人間の豊かな想像力と猜疑心はドンドン膨らみ、ついに妻を殺してしまう。 しかしそれが配下のでっち上げと知り、自分を責め、自害する。 これがオセロ。
三人の娘がいたリア王。 歳を取り玉座を退くことになった老王は、娘たちに遺産相続に際しどれほど自分を愛しているかを問う。 長女、次女は心にもないおべんちゃらで王を有頂天にさせるが、末娘はそっけない態度で王を失望させる。 しかし、その後の子供たちの行動で、実は誰が一番自分のことを愛していたのか、王は思い知ることになる。 これがリア王。
「お前は王になる。」という魔女の予言を受けた武将マクベス。 最初は信じていなかったものの、「その前にまずこういうことが起こるよ。」という予言が的中してしまう。 その瞬間、彼の心の中にどす黒い欲望がうずき始める・・・。 これがマクベス。
嫉妬、支配欲、因果応報、猜疑心・・・。 人間が「心」というものを持った時から、これらのものは何千年も不変のものです。 これらの作品がこうした人間のドロドロした「黒い塊」を表現してしまった以上、もう人類が滅びるまで無くなりようがありません。
それに加えて、僕が特筆したいのは作品のあちこちに散りばめられた、登場人物に言わせる「一言金言」というか、ことわざみたいなセリフに「キュン💛」となるわけです。(笑) もう本当に的を射ているというか、感嘆するしかない言葉の数々。
では最後に、僕が思わず唸ってしまったシェイクスピアの教訓(?)を2、3個挙げてこの稿を閉じたいと思います。
・言葉が役に立たないときには、純粋に真摯な沈黙がしばしば人を説得する。
・失敗の言い訳をすれば、その失敗がどんどん目立っていくだけです。
・頑固な人には、自ら招いた難儀が一番良い教師になるに決まってます。