ヒゲおやじ

ある男の後半生(こう反省)

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映画で英語を

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ご存知の方がほとんどだと思われますが、DVDビデオにはVHSビデオやレーザーディスクにはなかったある機能があります。 それは「字幕切替え」、「吹替え切替え」というもので、マイナーな作品であれば強制日本語字幕、吹替えなしといったパターンもありますが、いわゆるビッグタイトルな作品であれば、様々な視聴者のニーズに応えるために双方に対応しているのが普通です。

モノによってはかつてのテレビ吹替え版が非常に神がかった出来であるためにわざわざ「~年~TVロードショー版副替え収録」といったものが発売されているのを店頭で見かけることがあります。

これはつまりDVDディスクという媒体が音声切り替えというものを非常に得意としたものであったからこそ成しえたことであって、それまでのVHSビデオやレーザーディスクでは対応不可能なことでした。

もう一つ、DVDには字幕切替えという機能がありますが、これが今回僕がメインに書きたいことなのです。

というのも僕は昔から映画が好きなのですが、少し変わった嗜好も持ち合わせていまして、それは「好きなシーンは無限にリピートして観ることが出来る」というものです。 誇張ではなく主人公が話し終わって二秒後に右から五本目の木の枝が揺れる・・・、 みたいに全部のタイミングが頭に入るくらいになるまで繰り返し観てしまいます。 本当に狂人です。(笑)

しかしこの悪癖(?)が長く続いたことで、自身の脳内にある驚くべき変化が起こりました。 映画のセリフの原文が聞き取れるという思ってもみなかった現象でした。 原文と言っても「Holy,shit!」や「Thanks」みたいな誰もが聞き取れる単語レベルのものではなく、それなりの長さの文章です。

最初この経験をしたのはまだVHSビデオの時代でしたので、驚いて興奮はしたもののそれが正しいのかどうか確認する手段はなく、忸怩たる思いをした記憶があります。

しかし現在はDVDの「字幕切替え」のおかげで、すぐに確かめることができます。 実際にこのように映画を教材的に使っている人は少なくないのでは? と個人的には想像しています。

僕が初めて自身のヒアリングと字幕がピタリ一致したのは「シンドラーのリスト」の佳境でのセリフです。 ドイツが敗戦し、主人公のシンドラーが従業員のユダヤ人たちのもとを去る時、会計係のシュターンに後事を託すのですが、その時彼は「おっしゃる通りに」とすべてシンドラーの指示どおり動くことを約束します。

この時原語では「It’ll be done everything you ask.」と言っているのですが、これが聞き取れた時僕は中学時代、難しい因数分解を解いた時のような感動を覚え、加えて翻訳者って上手な訳をするんだな、ととても感心した記憶があります。

よく考えれば、これは幼児が言葉を習得する原理と全く同じです。 小さな子供は別に教科書を広げて体系的に言語を習得するわけではありません。 自分の周りにいる両親や兄弟姉妹の発声を聞いて真似て、ただ手当たり次第に吸収していくのです。

ただ子供の脳の吸収力はすさまじいので短期間であっという間に仕上げていきますが、成人して成長の衰えた大人の脳では何十回もの同一のフレーズの聞き流しが必要になるわけです。 ただそこはラッキーなことに先ほど述べた自身の悪癖のおかげで、何の苦痛もなく自然にクリアできていたわけです。

言語というものは別に頭の良い人だけが使うものではありません。 人間であればたいてい言葉は話します。 しかもその習得に教材を購入したり、教室に通ったりしたりしたわけでもなく、周りの情報を勝手に吸収していって身についたものなのですから、何歳になろうがその原理で言語の習得は可能では? と思うのです。

僕はプレイ時間は減りましたが、テレビゲームもやることがあります。 ゲームソフトも近年はグローバル化してきまして、ビッグタイトルなら世界同時発売なんてことも珍しくなくなってきました。 ストーリーに凝る最近のゲームはムービーシーンも本当に映画化してきています。

少数ではありますが、字幕切替え可能なものが出てきており、また一つ教材が増えたかな、と暗に喜びをかみしめつつ、今回は終わりにしたいと思います

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