2022年を迎えました。 毎年同じ現象、季節を繰り返し体験しているはずなのにだんだんとそのサイクルが短くなっていくのを痛感しています。 つまりこれは自分が年齢を重ねたということの何よりの証拠でしょう。 それに若い頃はあまり感じなかったのですが、最近手足の指先が冷えることが多くなってきました。 これも要するに自身の血管がだんだんと弱くなってきているからなのでしょう。
自分が20代の頃はまだまだ時間が無限にあり、僕だけはもしかしたら年も取らないし死なないんじゃないか、なんて気まぐれにでも思ったこともありましたが、実際に現在まで生存して大きな病気も経験してきますと、ああ自分もやはり一介の生き物に過ぎなかったかとしみじみと感じます。
残酷なのは身体の劣化というものはある日一気に噴出するのではなく、例えるなら食パンに生えるカビのように知らない間に徐々に顕れ広がっていくということです。
10代、20代の頃は悪いところと言ってもせいぜい虫歯くらいなものですが、僕はその頃から肥満体質で偏食傾向でしたし、本格的な異変は30代に高血圧という症状から始まりました。 そのため常時頭痛に悩まされることになり、その頃すでに社会人となっていた僕はそれを放置すると仕事にも支障がでるため、降圧剤を処方してもらうために定期通院を始めました。
それにより血圧は安定しましたが、服用し始めるまでに心臓に負担がかかっていたのでしょう。 不整脈、心房細動という病気も見つかってしまいました。 しかしこれについては父親や祖母も心臓が弱かったため遺伝的な要素も関係しているかもしれません。
そしてこめかみや鼻毛、髪の毛の一部が白髪になり始め、ツルツルだったおでこにも皺が入り始めます。 ああ、自分にも時間というものが流れているのだな、と悲嘆に暮れる瞬間ですね。(笑)
そしてついに僕が44歳の時脳出血を発症するんですが、今振り返ってみるとこれも突然発症したわけではなくて、その数カ月前からおかしな現象が起きていたことに気が付きました。
食堂で出されるお冷を手に取ろうとして倒してしまう、店で会計時にお金を払わずに出ていこうとして注意される、挙句の果てには手に調理中の鍋を持ったまま体が突然動かなくなり、やがて意識を失うという発作まで起こしてしまいました。
この最後の体験でさすがに自分の体にただ事ではない事態が起きていると思い、それまで親と少し離れた場所に独居していたのですが、しばらく親元で様子を見ることにしたわけです。 この判断は我ながら賢明だったと自負しています。
なぜなら脳出血発症がその後まもなくだったからです。 親が近くにいてくれたおかげで全ての行動が早かった。 あの時の感覚は多分一生忘れないと思います。 ただこれはこの病気を体験した人の中にしか共感者はいないと思います。
真夜中に言い知れぬ恐怖感、孤独感のような感覚で目が覚めます。 そして親に「俺、死ぬんじゃないか? 病院に連れていってほしい」と懇願し、夜中の2時頃、地元の救急病院へ向かいました。 そして宿直の先生と話そうとしたところで記憶が途切れ、気が付いたら脳外科のある大きな病院へ向かう救急車の中だったのです。
一応その後は3ヶ月ほどの入院とリハビリで仕事に復帰できるようには回復しましたが、それから4年程して今度は心筋梗塞も起こしてしまいました。 先にも書いたようにもともと心房細動を持っていたため心臓の周りの血管に血栓がたくさんできていてそれが症状を引き起こしたようでした。
現在はそれも何とか乗り越え、日々生活に仕事に精進しています。 ただ昔は裸眼だったがメガネをするようになったり、食べるものが昔ほど美味しく感じなくなったりと「パンに生えるカビ」は相変わらず増殖中ですが。
不思議なのは普段はズボラな僕なのに、いざという大事な局面にはまるで何かに守られてるように助かることです。 本当に単なる偶然なのかも知れません。 今まで助かってるから救われてると思えるだけなのかもしれませんが、この気持ちだけは持っていても損にはならないのではないでしょうか。
2022年も良い年になりますように。