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ある男の後半生(こう反省)

レビュー

電子書籍とオーディオブック

投稿日:2022年2月24日 更新日:

スマートフォン、もうすっかり我々の生活必需品となってしまいました。 フォンと謳ってはいるものの最早機能的には「電話兼~」ではなくて、「電話も可能な万能板」と言ってもいいような媒体でしょう。

なんせこれさえ持っていれば電話が出来、買い物の支払いも可能、テレビや動画の視聴も楽しめ、旅行の予約すらお手の物。 Amazonや楽天市場といったECコマースが大きく発展したのも、スマートフォンの普及が大きかったのは言うまでもないことです。

それまでは電話は家電か公衆電話、買い物は店舗で現金、レンタルビデオに旅行予約はJTB、みたいな生活が普通でしたから考えてみればスマートフォンは通信市場のみならず、流通市場や消費者行動すら激変させてしまったわけです。

そんな勢いで現在も発展し続けるスマホ市場ですが、僕は今回「電子書籍」なるものを初めて利用する機会を得ました。 というのも僕はアマゾンプライムに入会していてそれまでも好きな映画を視聴したり、送料無料配送というサービスは受けていたのですが、今回たまたまプライムリーディングという会員向け書籍読み放題リストの中に興味のあるタイトルがあったため、試しにということで読んでみることにしたのです。

同時にGoogleでも同じようなサービスが提供されているのがわかったので、こちらも試してみることにしました。 Googleでは書籍のほかにオーディオブックと呼ばれるものもさらに二点購入してみました。

AmazonもGoogleも電子書籍の基本的な仕組みは同じものです。 リーダーと呼ばれる購入した書籍を保存し、読書の際には実物の紙媒体の如く表示させるアプリをまず端末に入れ、それから書籍を購入する。 アプリを開いて読みたい本を指定すれば読書が始まり、端末の画面上でページをめくる所作をすればページがめくれる。 読書の中断はアプリを閉じれば自動的にそれまで読んだ最後のページにしおりが挟まるという仕様です。

さて肝心の紙媒体の本との比較ですが、なにより電子書籍というのはスマホの画面を見続けるということですので、目はやはり疲れる感じがします。 僕は電子書籍を黎明期から使っていたわけではないのでわからないのですが、現在はナイトモードといって暗闇でも読みやすくできる機能が入っていたりして実に至れり尽くせりなのですが、それでも光を見続けるという現実は変わらないわけです。 長時間読書ということではやはり昔ながらの紙媒体に軍配が上がります。

そしてもう一つのオーディオブックです。 これは別名「聴く読書」とも言われているようで、最近にわかに脚光をあびているようです。 仕組みとしては書籍の内容をプロの声優さんが音声として読み上げた物を聴くだけのものですが、これによってランニング中やドライブ中に読書が可能という画期的な出来事が起きたわけです。

僕は先にも書きましたが、このオーディオブックを今回二点購入しました。 一つは「シェイクスピア作品集」、もう一つは「死とは何か」という哲学書のようなものです。

僕はさっそくドライブ中にこのオーディオブックなるものに初挑戦してみました。 結果この二つの評価は僕の中で大きくわかれました。

シェイクスピアの方はこれは素晴らしく大当たりでした。 シェイクスピアを読んだことのある人ならばお分かりでしょうが、あれは小説というよりも演劇の台本に近い内容であり、それゆえそれをオーディオブックにすると自然にラジオドラマみたいなノリになる。 各登場人物の声優も素晴らしい上に、風の吹く音、馬の駆ける音などが随所に効果的に入り、まるで目の前のフロントガラスに中世ヨーロッパの風景が浮かんでくるかのようでした。(笑)

一方哲学書の方は、内容自体は素晴らしいのです。 話している声優さんの声も決して悪くない。 良く通る。 しかし内容がいまいち頭に入って来ない。 なぜなのか? 文体が難しいのです。 落ち着いて考えてみると僕はこの手の本を読むときは、原文→平易な言葉に脳内で無意識に変換しながら読んでいる。

ところがオーディオブックは僕が文章変換中にすぐ次を読み上げてしまい容赦がないのです。 理解してから次に進むことを許してくれない。 これが僕が感じた唯一の不満でした。

しかしこの点もこの先、改善されていく可能性はありますね。 今は原文をそのまま収録しているだけですが、そのうち難解な書籍のオーディオブック版だけは聞き流して理解できる平易な言葉に翻訳(?)されたものが出るとかですね。

けっこうなスキマビジネスな気がするんですけどね。

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