ヒゲおやじ

ある男の後半生(こう反省)

闘病記

大腸内視鏡検査を受けた。 そして思った。

投稿日:

僕が会社員として働き始めて約30年、現在まで生活習慣病による服薬を継続中、そして脳および心臓の大病による入院を経験しました。 幸いなことにそれらのいずれもが最悪な状態に至ることがなく、現在も特に不自由なく日常生活と仕事を両立しております。

しかしながらやはり加齢による身体の不調というものは誰にも起こってくるもの。 僕もついに会社の健康診断で血便が出てしまい、大腸内視鏡検査を受けてきました。

結果としては腫瘍はおろかポリープすらなく、当日のうちに帰宅でき、そのおかげで検査翌日の現在、こうしてブログも書けているわけです。

検査費用として約7000円ほどかかるようです。 これを高いと捉えるか安いと捉えるかは完全にその人の価値観だと思いますが、僕の場合は正直、検査を受けるまで大腸がんに対する恐怖で頭がいっぱいでした。 それが検査でネガティブだと分かった瞬間から好きな映画のこととか、休日には何をしようだとか、そういうことを考える余裕が復活しました。

あえて意地悪な言い方をするなら「喉元過ぎれば熱さを忘れる。」なのでしょうが、やはり目先の危機が去ってしまうと日頃の刹那的な生活に戻ってしまうのが凡人の性なのでしょう。(笑)

しかし何よりも今回の検査費用7000円は僕にとって大いなる心の平安をもたらしたのであって、もしそれをケチって検査を受けなかった場合、これから先ずっと自分は大腸がんなのではないかという疑心暗鬼にさいなまれる。 当然何をしていてもそのことが頭をよぎるから全然楽しい気持ちになれない。

自分は検査費用を払い、検査でネガティブが証明され、そのため現在非常に前向きで晴れやかな気持ちになっている。 実に良いお金の使い方をしたと思っています。

目先の一円をケチる人というのは多分これからつきまとう不安感よりも財布の中身をとにかく減らしたくないというねじ曲がった吝嗇家か、そもそもそのような危機感を感じない人種なのかなあと思ってしまいます。

大腸内視鏡検査なんて受ける人は勤め人のごく一部でしょうし、しかもこの検査で大腸がんと診断されるのは全体の約2パーセントほどだそうです。 僕は幸運なことに98パーセント側に入ることができましたが、費用を惜しまなかったことで「2パーセントの恐怖」をも完全に払拭できたわけです。

そういった意味では別に検査をしなくたって98パーセントは何事もなく終わるわけですが、病気への猜疑心からはどうあがいても逃げられませんし、もし2パーセント側に入ってしまった場合、金銭的にも時間的にも逃げ場所がなくなってしまいます。

よく良いお金の使い方として「経験に使え。」なんて世間的には言われています。 もちろんいくら経験といったって僕がいま書いてきたような精密検査に金を惜しむなみたいなことを指しているわけではなく、若い時に世界を見て歩いて見聞を広めたり、たくさんの人と接したりということを言っているんだと思います。

確かにそれはそうなのですが、加齢とともに現れてくる自身の異常から目を背け、眼前の欲望に負けているような生活だと上の「経験に使え。」と言っている人と同じ精神の土俵にも立てない気がします。

98パーセント側にいることに賭けて悶々とすることと、98パーセント側にいることを確信して生きる人生は全然違うのです。

-闘病記

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

関連記事

自分の飲酒はリスクとの闘い?

ウイスキーを趣味にして、半年ほど過ぎました。 ビールと発泡酒の違いもろくに分からない僕が、ウイスキーとバーボンくらいの区別なら香りで区別できるくらいにはなりました。 うれしい気持ちはあるのですが、自分 …

粒状角膜ジストロフィー、という病気。 そして免許更新への旅。

先日、僕は角膜ジストロフィーという眼の手術を受けてきました。 僕の居住している北海道でこの病気の手術ができる場所は函館と旭川の二か所しかないらしく、僕は若干住所に近い後者を選択しました。 有名な眼の病 …

精神障害者保健福祉手帳、自立支援医療の更新

普通、てんかん発作と言えば子供がかかり、大人になるにつれて自然に治癒していくイメージですよね? しかし世の中には「症候性てんかん」と言って、僕のような脳の病気により脳自体にダメージを受けてしまい、その …

入院中に体験した不思議な話

ホラーが恋しい季節になってきました。 僕自身、というかほとんどの人が該当すると思いますが、熱帯夜にいくら怖い話をされたところで別にそれが和らぐわけではありません。 気温38度の前には心霊写真100枚で …

肉体的劣化と人間の精神

先月末、僕は心筋梗塞で一週間ほど最寄りの総合病院に入院しました。 幸い症状も軽く、病院へも自覚症状が顕れてすぐに行ったものですから、大事には至らず、後遺症もなく退院することができました。 僕は六年前に …

最近のコメント