僕の住む地域にはついこの間まで鉄道が運行されていました。 しかし残念なことに2015年に高波が太平洋沿岸に敷設されていた本鉄道の線路や陸橋を破壊してしまいました。 僕自身、主に高校通学にお世話になった非常に愛着ある本線でしたが、ついに僕の住む町からは駅が姿を消してしまいました。
僕はたまに世間を騒がせる鉄オタという強烈なレベルの鉄道マニアではありませんが、それでも若いころは本州に旅行するときは飛行機ではなく寝台車を利用したり、札幌駅のような大きくてホームが何本もあるような駅の場合だと、意味もなく入場券を買って数時間滞在し、ただ電車の出入りを眺める、といったことをしていました。
ただあくまで僕の興味は昔から鉄道のみであって、クルマやバイクといったものには全く食指が動きませんでした。
もっとも最近株をやるようになり、そうなると自動車株も当然投資対象になってきますから、その意味で新車種が出たりすればチェックはしますが、それは鉄道に対する愛着とは全く別種のものです。
鉄道の何に惹かれるのか? と問われてもその言語化は容易ではありません。
ただ自分は車両のデザインとかではなく、レールの分岐や最近はめっきり減った気がする工場への引き込み線とかそういうものになにかとてつもなくロマンを感じていた気がします。
鉄道はご存じの通り、車のハンドルに当たるものがありません。 動くか止まるか、またはそのスピードの増減だけで、走れる場所というのはレールの上のみです。 僕は鉄道のそういう「不自由性」にゾクゾクしていたのです。 貨物列車がどこかの工場の引き込み線に軌道を変え、速度を落としながら進行していくのを想像するだけで、僕の心臓はパンクしそうになっていました。
現在ではめっきりやらなくなりましたが、昔はよくテレビでドミノ倒しをやっていました。 ドミノの駒(?)を大量に並べ、最初の一枚は人の手で倒すが、あとはドミノ自体の倒れる力を頼りにして次々に駒を倒していく。 テレビ局側としても派手なものの方がスポンサーが付きやすいというのもあったのでしょうが、途中滑り台から落下させたり、クレーンで釣り上げたりみたいな派手な演出も豊富で、子供の自分は夢中で観ていたわけです。
で何が言いたいのかといいますと、ドミノ倒しも冷静に考えるとある種の「不自由性」があって、僕はそこに熱狂していたのではないかなと思うのです。 動力はドミノ自身の倒れる力のみ。 そして大量に並べた駒に当たるのが鉄道のレールであって、その並べられた駒のみが正確に倒れていく。
ドミノ倒しは途中で、イベントのために何度か分岐するのが普通です。 そのイベントというのが鐘を鳴らしたり、絵を描いたりといった趣向を凝らしたものが多かったわけですが、分岐をさせないとイベント終了=ドミノ倒し終了なので分岐させるのです。
そしてこの分岐がうまくいき、イベントが成功すると、鉄道好きな僕のソウルがなぜか爆発するのです。 引き込み線に貨物が入っていくあの感覚がよみがえるのです。
このように僕の中では鉄道とドミノ倒しが好きな理由の根本がどうも同じところにあるような気がしています。
世の中には多趣味な方々も多いとは思いますが、もしかしたらその好きな原因はたった一つのことだったかも、なんてこともあるかもしれませんね。