僕は昔から眠るときも本を読むときも「無音」で、という環境が苦手でした。 そんな僕の一番のマストアイテムといえばラジオでした。 僕が幼少の頃はまだCDなんてものはなく、33回転のLPレコードかカセットテープであり、MP3のストリーミングで音楽を聴くという現代では、和式トイレや固定黒電話と同じようにこれらも同じように完全に歴史の遺物となってしまいました。
ところがこのLPレコードやカセットテープ、再生時間的に「睡眠」にも「読書」にも向いていません。 LPは約30分ほどが再生時間、カセットテープは長いものでも60分であって、スマートフォンのミュージックプレーヤーみたいにリピート機能がないために手動で再始動しなくてはいけません。
睡眠や読書に勤しむ者にとって再始動を並行して行うことはできません。 ですので僕にとってラジオは必須だったのです。 僕の青少年期、民放であれば月曜未明の数時間の休止時間以外は常に放送をやっていて、放置していても何かしら流れてきますし、何をするにもラジオを薄く流しておけば、「静寂の恐怖」から逃れることができました。
時は流れ現在。 YouTube動画には「作業用BGM」、「睡眠導入用雑学」なるものがたくさんあふれ、ラジオは不要になりました。 しかもこのような動画が一定数存在し、それなりに視聴されているということは僕のような人間がレアケースではなく、結構な人数いるのだなということがわかりました。
加えてさすが作業用、睡眠用と謳っているいるだけあって、一本の再生時間が7~8時間のものが多く、音楽物はリラックスしたスローなもの、朗読ものだと、おばあちゃんが眠る孫に枕もとで聞かせるようなおとぎ話のような穏やか口調のものが主流のようです。
僕は個人的な趣味でコントのまとめ動画やホラーゆっくり実況まとめを観ることが多いのですが、少し前、ホラーを集中的に観すぎた時期があり、その時に少し怖い思いをして現在は観るのをやめています。
二回ほど体験したのですが、それが実況内容が単に自身の夢に干渉した結果であるのか、真に心霊現象であったのかはわかりません。 一つは夜中に突然覚醒し天井に向かって「あぎにゃにゃあぎにゃにゃ(本当にこんな感じ)」とどれくらい言っていたのかは不明だが、徐々に正気に戻っていき、気づいてからやめた、というもの。
もう一つは目が覚めると、錯覚かもしれないが人の顔みたいのがあって、それに向かって「もう帰るのか?帰るのか?」と聞き、やがて顔が消えると、僕も猛烈に眠かったため再び眠ってしまった、というものです。
双方ともこの現象が起きた時に流していた動画の履歴は調べれば簡単にわかるので、翌日に改めて視聴しなおしてみたものの、残念ながら動画のどの部分に反応して起きた現象かまでは分かりませんでした。
心霊体験がなく一度体験してみたいと思っていた僕ですが、なにぶん睡眠中で果たしてこれらがそうであったのかは微妙ですし、何より恐怖感も幽霊出現時に起こるという温度が下がった感じも全くなかったので、今回のこれはカウントしないことにしました。
とにかく今回の「作業用動画、BGM」についてですが、最初誰が思い付き、始めたのかはわかりません。 しかしこういうものがあれば一定の視聴率が取れて広告収入が見込めると思い付き、参入しようとするのですからやはり人間はしたたかな生物ですね。
さて、次はどんな隙間を狙ってくるのでしょうか? 楽しみです。