ヒゲおやじ

ある男の後半生(こう反省)

人生論

夢へは常に「いつの間にか」なんだよね

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僕は生まれたときからもう数えきれないくらい眠りについてきています。 言わば眠りのプロ(笑)、しかしながら残念なことに現実世界から夢、つまり眠りの世界への移行は常に「知らないうちに」なのですね。

なぜかその逆は認知できる。 つまり眠りから覚醒するときは、今まで寝ていた、これから覚醒するというのを数分間か数十秒間かはわからないけれども、まどろみの中で自覚するわけですね。

僕は眠りと死は結構近いものと考えていて、身体を休息させた後、やがて覚醒するものが眠り、身体機能がすべて停止し、頭脳すらシャットダウンするのが死と捉えています。

ちょっと死刑執行前夜の死刑囚を想像してみてください。 もし自分が明日処刑されると分かってしまったら、たぶんその日は眠れないだろうと思うのです。

この時死刑囚が恐れているのは、自身の刑の執行の瞬間であろうことは容易に想像ができます。 そして一部の想像力のたくましい死刑囚が執行前に自害してしまったり発狂してしまったりするのだと思います。 彼らはきっと死に伴う「激痛」に恐怖しているのでしょう。

ところで僕はこれまでの50数年間で祖父、祖母、実父など身内を10人ほど亡くしてきましたが、彼らは不思議と来たる死に対して恐怖したとか、抵抗したことはありませんでした。 またこれは医師による処置の効果もあるとは思うのですが、苦悶の表情を浮かべたであるとかもなく実に穏やかに旅立っていきました。

それともう一つ。 僕は40代で脳出血を発症したことがあるのですが、実に運がいいことに町の病院で診察中に倒れたため、すぐに最寄りの総合病院へ搬送され事なきを得ました。 この時は自身の身に起きたことなのではっきり言えますが、痛みや苦しみもないが意識もなく、気が付いたら眠りから覚めた時みたいにベッドに寝かされていたわけです。

結局僕が何を言いたいのかというと、現実世界から眠り、あるいは死の世界へ移行の際に自我を失うのは移動中に無理矢理戻ろうと抵抗させないようにする措置なのではということです。

現在ではもうばからしいと思ってやりませんが、子供の頃や学生時代は眠りかけに「抵抗」して目覚めてやる、と何回も挑戦したものです。 結局成功したことはありませんでした。 唯一部屋に友人たちが大勢いて、眠りかけに起こされハッとして目覚めたことはありますが、これではだめでしょう。

病院では患者がゴホゴホ咳をしたり、体のあちこちをイタイイタイと言って看護師にさすってもらっている。 そして映画などではよく死刑囚が刑の執行後、体をピクピクけいれんさせるシーンが描写されがちです。 なので我々は死というものを無意識に「何かとんでもなく激痛をともなうもの」というイメージをもって恐怖しがちです。 また100%の人が一度も死んだことがないという「死童貞率」が高いのもそれに拍車をかけます。

だからこそ、死をスムーズに受け入れられるようにするこんなメカニズムが人間には備わっているのかも知れませんね。

-人生論

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