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タルコフスキーをほんの少し理解した気になった

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ソ連の有名な映画監督にアンドレイ・タルコフスキーという人がいます。 彼の作品で一番有名なものといえば「惑星ソラリス」ですが、確かにこれは彼の他の作品と比べると話が分かりやすく、その証拠にハリウッド版のリメイク作品も存在しています。

僕個人的には「ストーカー」という作品のほうが好みに合うのですが、実はこの2作品、全宇宙という視点で見たときに人間というものが実は僕らが普段意識もしない石ころや虫けらのような存在なのでは? と気づかせるような内容なのです。

僕らがSFというとき、「E.T.」や「宇宙戦争」みたいなものを真っ先に想像すると思います。 これらに登場する異星人たちは時には友好的であったりまた時には非常に敵対的であったりという違いこそあるものの、皆判で押したように地球人を最高の知的生命体と認識し、コンタクトを試みます。

ところがタルコフスキーの描くSFというのは人間をそのような対象として見ない。 まるで我々が道を歩いているときに枯れ葉が通りをいくら舞い散っても気にしないのと同レベルに気にしないのです。 そういう意味で彼の上の2作品は常に僕の視点をリフレッシュさせてくれるのです。

惑星ソラリスというのは無人の惑星。 別に近づいても異星人に襲われるわけでもなければ言語的なコンタクトがあるわけでもない。 しかし宇宙船がその惑星に近づくと「ある異変」が起きるのです。 宇宙船のクルーたちにとって人生で最も印象に残っている人間が形となって船内に出現しだしたのでした。

出現した者たちは皆、本体と同質の容姿と記憶を持ち、たとえ船外に追放したとしても何度でも船内に現れる。 一方出現者たちはクルーに対して何らかの危害を加えてくるわけではないのです。 このことから惑星ソラリス自体に何らかの意識があるらしいことはわかるが、人類に特段危害を加えようとする様子がないことから、人間をただの一有機体としかとらえていない感じもします。

「ストーカー」の描写は人類にとって少し過酷です。 我々がどこか眺めの良いところへピクニックへ行き、ごみをそこらへんに散らかしたまま帰宅する様子を考えてみてください。 人間が去ったあと、残されたごみに付着した残留物を目当てに虫、雑菌などがわいてくるでしょう。

彼らの多くは獲物を得て大満足でしょうが、中には飲み物のボトルの中でおぼれてしまったり、ネバネバした調味料の蓋に張り付いてしまったりして命を落とす輩も大勢(?)いるでしょう。

ピクニックで残されたごみ界で大変な悲劇が繰り広げられている中、当の帰宅した人間たちはそんなこと頭にもありません。 下手したらピクニックしたことすら忘れ、仕事に打ち込み、家族サービスに明け暮れているでしょう。

ここまで書いておわかりかと思いますが、上で書いた虫、雑菌に当たるのが人類、人類が異星人というスタンスで表現されたSFが「ストーカー」なのです。

なんの理由があってかはわからないが、ある時異星人が地球を訪れた。 異星人が去ったあと、ある区域で異常現象が頻発した。 政府はそこを「ゾーン」と呼んで立ち入り禁止にした。 しかし立ち入り禁止にもかかわらず、こっそりとそこへ行こうとするものが後を絶たなかった。 最終地点に到達するとなんでも望みが叶うという噂のためだ。

やがて人類の中からゾーン内を迷わずに最終地点まで案内できる人間が現れて、有償で希望者をそこまで案内するということを始める。 彼らがストーカーと呼ばれるのだが、彼らとて別にゾーンへの立ち入りが許されているわけではないのでその報酬は高額である。

ゾーン内では道に迷うと脱出ができなくなったり、間違ったルートを選択すると自身の肉がミンチになったりするが、それはちょうど我々人類が最初から昆虫類をハメ殺すつもりでごみを置いて行ったわけではないのと同じであって、異星人側から見れば人類とは単なる一種の有機体でしかないのかもしれない。

というのがざっとしたストーリーですが、いずれにしてもタルコフスキーのSFというのは「人類VS異星人」という昔からの紋切り型のものとは一線を画すものであって、それが僕にとっては非常に新鮮であったのでした。

宇宙戦争を敵対型、E.T.を友好型とするなら、タルコフスキーのは無干渉型とでも名付けるべきなのかと感じました。

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