ヒゲおやじ

ある男の後半生(こう反省)

人生論

サラリーマンの悲哀。黒澤明「生きる」 ②

投稿日:2017年4月28日 更新日:

この「生きる」という作品は、間違いなく黒澤監督の三大名作の一つに入ります。

今は亡くなってしまわれましたが、昔タレントで逸見政孝さんという方がいらっしゃいました。

「クイズショウバイSHOWBY」、「平成教育委員会」等に出演され、温厚な人柄がみんなに愛されていました。

ガンで亡くなったのですが、この映画を何回もご覧になっていたようです。

多分この映画の主人公「渡辺寛治(名前の字が違っていたらすいません)」、と自分の境遇をだぶらせていたのでしょう。

この主人公は平凡な役所の管理職です。 毎日、退屈で平凡な人生を送っています。 僕の若い頃と同じです。(笑)

ところが、ある日この主人公が自分の体調に異変を感じ、病院に行ったところから人生が大きく変わり始めるのです。

主人公は自分がガンになっていて、余命いくばくもないことが分かり絶望します。

最初はただ絶望だけで、どうしていいかわからない主人公。それまで皆勤だった役所も無断欠勤が続き、街を目的もなくさまよいます。

睡眠薬で自殺を試みたり、酒で一時的にごまかそうとジタバタ必死にもがく主人公。でも最後に主人公は気付くんですね。

「自分の生きた証を残すことが生きるということ」と。

この主人公は「市民課」という役所の課長でしたが、それまでは市民の陳情もまともに取り合わず、ほかの部署にたらい回しにしていました。

今の役所でこんな仕事は即NGでしょうけど、当時はこれが普通だったのかもしれませんね。

でもいまの課長は生まれ変わっています。その課長の目に市民の陳情の一つが目に入ります。それは「児童公園」を作ってほしいというものでした。

課長はこれを自分の生涯の仕事に設定します。 当然、熱の入れ方も半端じゃありませんが、周りはそれを理解しません。

そりゃそうです。 誰も課長がガンであることは知りません。 しかもこの課長の役所は「市民の陳情はたらい回す」という不文律があります。

そんな中、課長はまさに孤軍奮闘です。 様々な悪意や嫌がらせにも負けずに、自身の仕事を成し遂げていきます。

そしてついに、主人公は児童公園を作ったのです。 この時の主人公にとっては周りの評価なんかきっとどうでも良かったに違いありません。

僕は比較的鈍感な人間なのですが、この時の主人公の気持ちだけは正確に理解できます。

「生きた証を残した。無駄な人生じゃなかった。嬉しい。」という気持ちでいっぱいだったことでしょう。

こんな映画を20代のうちに観れたことは、僕にとってはいい財産になっています。 あまり学習はされてないですけど。(笑)

「人生を学べる映画」ってあまり多くはありません。 この作品はそんな数少ない作品の一つであるのは間違いありません。

-人生論

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

Chat GPTなるものが現れた

「Chat GPT」なるものがにわかに世間を騒がせています。 僕がこれを知ったのが数カ月前、友人が実際にそのやり取りを実演して見せてくれたからでした。 正直、AIもついにここまで来たか、と映画「マトリ …

400年以上もシェイクスピアは我々の心をえぐる

シャーロックホームズ、ビートルズ、007・・・。 イギリスといって思い浮かぶものはいろいろありますが、その中の一つにシェイクスピアの数々の有名な劇作品があります。 シェイクスピアといってすぐに頭に浮か …

僕の告白体験記

僕は恋愛に関しては淡白な方です。 なのでいい歳こいて恋愛経験は希薄でした。 今でも希薄です。 一生希薄かもしれません。 ですが幼稚園から大学まで男女共学でしたので、周りに必ず女の子はいました。 僕の住 …

サラリーマンの悲哀。黒澤明「生きる」 ①

酒っていいですね。僕は酒の味そのものよりも、酔い始めのあの感覚がたまらなく大好きです。 酒をたしなむ方なら誰でも理解できると思いますが、あの「自分が無敵になっていく感覚」ですね。 酔っている最中は自分 …

テレビゲームから学んだ無バイアスの視点

僕は高校、大学時代に女神転生というゲームに没頭しておりました。 それまでもドラゴンクエスト、FFシリーズなんかは普通にやってきたのですが、この女神転生というRPGは世界観が僕にとって非常に独特で魅力的 …

最近のコメント